毎年11月にアメリカで祝う【感謝祭(サンクスギビングデー)】とは?

日本で「七面鳥」といえばクリスマスをイメージする方は多いと思いますが、実はアメリカで七面鳥といえば、サンクスギビングデーと呼ばれる「感謝祭」が有名です。感謝祭(サンクスギビングデー)とはどんな祝日なのか、いつから始まったのか、歴史を詳しく解説します!


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■ 感謝祭 と 収穫祭

世界のほぼすべての文化というのは、作物の収穫に対して多大な感謝を表しています。例えば、日本も昔は豊作に感謝する宴や祭り(収穫祭)は頻繁におこなっていた歴史がありますよね。最近はそういった催しも廃れてきている傾向がありますが、新嘗祭(にいなめさい)などは聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。

アメリカとカナダでは収穫祭のことを「感謝祭(サンクスギビングデー)」や「七面鳥の日」と呼ばれており、過去1年間の作物の収穫やその他の祝福を祝うものとして現在でも毎年行われています。


■感謝祭の始まり

感謝祭は、今からおよそ400年前のイギリス植民地時代初期のアメリカで、感謝の祝宴として始まったのがきっかけとされています。

1620年頃、ピルグリム・ファーザーズと呼ばれるイギリスのピューリタン一団が、宗教的自由を求めてアメリカのマサチューセッツ州にやって来ました。しかし彼らが到着したとき、アメリカでは極寒の冬を迎えたばかり。作物の植え付けをしてもなかなか成長せず、多くの死者を出してしまったのです。

しかし春を迎える頃、マサチューセッツ州近辺に住んでいた先住民、ワンパノアグ族のインディアンたちからトウモロコシの栽培方法や、狩り、釣りの知識を教えてもらい、生き延びることができました。

さらに、その年の秋にはトウモロコシや大麦、豆、カボチャなど多くの作物が収穫できるようになったのです。

ピルグリム・ファーザーズは彼らと神の恵みに感謝を表すため、祝宴をおこないました。地元のインディアンたちも秋の収穫を祝う習慣があり、七面鳥やジビエを提供してもらい、収穫物と一緒に調理して食しました。また、インディアンからクランベリーやトウモロコシをもらい、美味しいレシピまで教授されました。

そして翌年も感謝の宴を開いて秋の収穫を祝うことになりました。これが現在の感謝祭の始まりとされています。


■感謝祭っていつ行われるもの?

感謝祭は、アメリカの伝統として長きにわたって継続されてきましたが、実は「感謝祭」として国民的祝日に位置づけされていたわけではありません。また、家族でのんびりと祝うものではなく、ただの酔っ払いが騒ぐだけの誤ったイベントとして行われていました。

今でいうハロウィンのようなカーニバルとして楽しむものだと思われていたのです。

その祝い事を感謝祭として設けることを宣言したのが、リンカーン大統領です。リンカーン大統領は「11月最終木曜日」を感謝祭として定め、定着しました。しかし時代の変化もあり、後にルーズベルト大統領が「11月第4木曜日」を感謝祭として新たに宣言し、今のような国民の祝日となっていきました。

今年は11月28日がその感謝祭の日に該当します。


■ついに認められたインディアンの役割

1988年に、聖ヨハネ大聖堂で4,000人以上の人々が集まる盛大な感謝祭が開催されました。その参加者の中には、アメリカ全土の部族を代表するネイティブアメリカン、祖先が新しい土地へ移住したという人々の子孫もいたのです。

この感謝祭では、350年前に行われた最初の感謝祭での、インディアンの行いが公に認められました。とはいえ、インディアンたちの教えがなければ生き残ることができなかったことはいうまでもありません。

感謝祭の目的というのは、アメリカ人家族のホスピタリティであり礼儀正しさを学ぶ場です。そして祝いの場に出てくる美味しい・華やかな料理を作るための作物を栽培したり、調理する方法を丁寧に教えてくれたインディアン達に感謝する場でもあるのです。


日本には馴染みのない感謝祭(サンクスギビングデー)ですが、アメリカの歴史と深く関わりがある文化。また、この日が過ぎるとホリデーシーズンに突入し、街はクリスマス一色になります。感謝祭は、そんな1年を締めくくる大切な祝日とも言えるかもしれませんね。