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アメリカで感謝祭<サンクスギビングデー>は今や国民の祝日です。しかし最初はイギリスの伝統を継承していた入植者「ピルグリム・ファーザーズ」による不定期な祝祭でした。当初異文化であったはずの儀式がどのようにしてアメリカに広まり、国民の祝日へと変化していったのか、その歴史を辿ります。
■感謝祭の起源
最初の感謝祭は、17世紀にプリマス植民地にやってきた巡礼者(ピルグリム・ファーザーズ)によって行われました。しかし一行が到着した当時のアメリカは冬真っ只中。厳しい寒さに耐えきれず多くの死者が出てしまいました。その翌年になって彼らに生活の知恵と食料を手助けしたのが地元のワンパノアグ族。原住民たちの教えのおかげで冬を乗り越えることができたことを祝ったのが、感謝祭の始まりだと伝えられています。
■では、最初の感謝祭とは“いつ”?
今でこそ感謝祭は11月の第4木曜日に行われていますが、ピルグリム・ファーザーズとワンパノアグ族のお祝いは1621年の9月から11月の間に3日間行われた可能性が最も高いといわれています。とはいえ、正確な日付が記録されている訳ではありません。
■そこでは何を食べたのか?
今ではローストしたターキーやスタッフィングと呼ばれる詰め物(またはサイドディッシュとして食べられることも多い)、パイやサラダなど豪華なご馳走が並んでいますよね。
現代のようなオーブンはもちろん、食料も多くはなかった当時。じゃがいもでさえ手に入らず、とうもろこしや果実、貝類、ハーブなどが食されていたと考えられています。そして驚くことに、現代の定番「ターキー」でさえ食べたという事実は残っていません。
■なぜ「サンクスギビングデー」と呼ばれるのか?

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ピルグリム・ファーザーズの文化として、元々は「感謝祭(サンクスギビングデー)」と呼ばれるものはありませんでした。もっと狭い範囲で「豊かな収穫を祝う」だけのものだったのです。しかし、彼らは原住民たちへの感謝を表すために、「感謝祭」を行いました。そしていつしか「秋の収穫を祝うもの」と「感謝を表すもの」2つの目的が絡み合い、人々は秋に「感謝祭」を行うようになりました。
それから何年も経った1789年、ジョージワシントンは「11月26日」に国民感謝祭を行うことを宣言しました。
しかし今日の感謝祭は「11月の第四木曜日」ですよね。さらに日にちが変更されるのは、ワシントン大統領が宣言してから実に74年後のことなのです。
■現在の感謝祭<サンクスギビングデー>
ジョージワシントンが宣言した後も感謝祭はなかなか定着しませんでした。そんな中、感謝祭を国民の祝日にしようと活動していた「サラ・ジョセファ・ヘイル」という作家が諦めずに活動し、大統領にも手紙を送りました。そして1863年、ついにリンカーン大統領を動かしたのです。
その頃南北戦争の真っ只中にあったアメリカでしたが、リンカーン大統領の宣言により感謝祭が「11月の最終木曜日」に行われることが正式に決定しました。
やがて、時代の流れに合うよう「11月の第四木曜日」と日にちが改められ、今日までアメリカ全土の文化として祝われ続けているのです。
感謝祭(サンクスギビングデー)は単なるお祭りではなく、移民文化が根付くアメリカならではの歴史と意味があるもの。日本にはない文化ですが、これを機にぜひアメリカを祝う気持ちで11月24日のサンクスギビングデーを楽しんでみてはいかがでしょうか。