
出典:Valeria Aksakova on Shutterstock
11月23日はアメリカのエスプレッソデー。コーヒー好きは大喜びのイベントの日です。アメリカの大手コーヒー店やスターバックスなどでは、このエスプレッソデーを記念した特売も開催されます。本記事では、そんなコーヒー愛好家に嬉しいエスプレッソの魅力を詳しく解説していきます!
■普通のコーヒーとエスプレッソの違いとは?
エスプレッソと普通のコーヒーの違いをご存知でしょうか?
エスプレッソは、普通のコーヒーよりも小さいカップと独特の濃さが特徴ですよね。実は、豆の種類に大きな差はなく、抽出方法によって味わいが変化しているのです。
【一般的なコーヒー】
焙煎して挽いた豆にお湯を注ぎ、抽出したもの。この抽出の仕方を「ドリップ式」と呼びます。ドリップ式には、「ペーパードリップ」「フレンチプレス」「ネルドリップ」「サイフォン」など多くの種類があり、それぞれにドリップの仕方が異なります。
【エスプレッソ】
エスプレッソは、エスプレッソマシンなどで豆に圧力をかけ、一気に抽出したコーヒーのことを指します。深く焙煎した極細挽きの豆を使うことがほとんどで、濃厚なコク・強い香りが特徴的。
細かく挽いたコーヒー豆に加圧水を通すことで、『クレマ』という甘みのある繊細な泡が生成されます。このクレマが甘みと苦みのバランスをとり、美味しいエスプレッソが完成します。また、エスプレッソはカフェラテやカプチーノ、マキアートのベースとなっているのが一般的です。
■エスプレッソの歴史
エスプレッソとは小さな「デミタスカップ」で提供されます。ところが、元々はエスプレッソ用のカップではなかったのです。まずはその歴史から紐解いていきましょう。
【デミタスカップ】
コーヒーの歴史は古く、1600年代中頃にはヨーロッパ全域に広まっていました。しかし1700年後半〜1800年初期にかけ、フリードリヒ2世やナポレオンの命令により、コーヒー価格が高騰。一般庶民に出回りにくくなってしまいました。そこで台頭したのが、チコリコーヒーと呼ばれるノンカフェインの代替品や、コーヒーの量を3分の2に減らした「デミタスカップ」コーヒーだったのです。
【新しいコーヒーマシン】
デミタスカップの登場から約1世紀が過ぎた1901年、イタリアのLuigi Bezzera(ルイージ・ベゼラ)がエスプレッソマシンの原型となる機械を発明しました。彼は製造工場の責任者を務めており、コーヒーを淹れる時間を短縮し生産性を高めたいと考えたのです。
エスプレッソマシンは蒸気圧を使用し、細かく挽いたコーヒーに温水を通す方法で、従来よりも速く、濃厚で、出来立てを提供できるものでした。
しかしながらベゼラの販売知恵は乏しいものでした。そこで1905年、マーケティングの天才Desidero Pavoni(デジデリオ・パボーニ)はベゼラからマシンの権利を購入し、特許を取得。パボーニによってエスプレッソマシンは大量生産され、ヨーロッパに普及していきました。
エスプレッソという呼び方は、誰が名づけたものかは分かっていません。語源はイタリア語の「express(急行)」からきていると考えられています。
【進化するエスプレッソマシン】
1940年代初期には、イタリア・ミラノのバールを経営し、自身もバリスタとして働いていたAchille Gaggia(アキレ・ガジア)氏が、ピストンベースのエスプレッソマシンを開発しました。
このマシンは、アメリカの軍隊基地の見学に行ったとき、ジープのエンジンのピストン運動構造を見て新しいエスプレッソ抽出方法をひらめいたといわれています。
コーヒーの焦げた風味を取り除いて、エスプレッソ本来の濃度を高めることに成功。加えてエスプレッソの風味を決めるといわれる「クレマ」も、彼のエスプレッソマシンにより生み出されたのです。
こうした歴史と発明が、現在のエスプレッソマシンに生かされています。
■エスプレッソデーを祝う方法は?
エスプレッソデーには、お気に入りのカフェでエスプレッソを1杯注文し、ナショナル・エスプレッソデーを祝います。
エスプレッソさえあれば、場所はどこでも良いのです。スターバックスやドトール、地元の老舗喫茶店にももちろんあるでしょう。それぞれの店の味わいを楽しむのもおすすめです。
コーヒーが飲めない、という方は、エスプレッソベースのケーキやお菓子でもOK。エスプレッソ好きであれば、仲の良い友人や家族とエスプレッソパーティーを開いてみてはいかがでしょうか。
■アメリカとイタリアのエスプレッソデー
ここでご紹介したのは、アメリカのエスプレッソデーです。発祥地であるイタリアエスプレッソデーは4月16日。イタリアの人々はこの日になると、カフェやバールでエスプレッソを飲んでイベントを楽しみます。
国は違えど、コーヒーを愛する思いは世界共通の文化といえますね。
本記事ではエスプレッソについて、詳しい歴史をご紹介しました。あなたがカフェでエスプレッソを飲むとき、この背景を想像してみると…少し味わいが変わるかもしれません。