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『ヴィーガン』という言葉、あなたも一度は聞いたことがありませんか?
ヴィーガンとは、イギリスから発祥した完全菜食主義者を表す言葉です。似ている言葉に「ベジタリアン」がありますよね。しかし二語の違いや、ライフスタイルについてはあまり語られません。本記事では、そんなヴィーガンにまつわる「疑問」を解説します。
■そもそもヴィーガンってなに?
ヴィーガンとは「完全菜食主義者」と前述しましたが、実際は食生活だけを指すものではありません。「人間は動物を搾取することなく生きるべきだ」という思想に基づいたヴィーガニズムの人たちを表す言葉です。
一方ベジタリアンとは、肉や魚を食べずに野菜を基本の食材としている点は同じですが、思想によって乳製品や卵はOKとする場合もあります。
イギリスのヴィーガン協会の定義では、
✔︎ 卵や乳製品を含む動物性食品を食べない
✔︎ 毛皮やレザーを使用しない
など、ライフスタイルから全ての動物製品を排除することとされています。
ベジタリアンよりも食文化の規律が厳しい点が、ヴィーガンの大きな特徴です。
■『世界ヴィーガンマンス(World Vegan Month)』の歴史
ヴィーガンの歴史は、イギリスのビーガン協会により、1944年11月に始まりました。
人間のために命を落とした動物への敬意を表す「ヴィーガンデー」は、メキシコの『死者の日』と重ねて、毎年11月1日に定められました。そして11月の間をヴィーガンマンスとして祝うようになったのです。
■発祥の地、イギリスの祝い方とは
1.ヴィーガン食を楽しむ
イギリスではヴィーガン食が簡単に手に入るため、家庭でヴィーガンメニューを取り入れているところもあるといいます。
最近では、実際に植物や豆から作られているソーセージ、ベーコン、蜂蜜、バター、チーズの代替品まで販売され、本物の肉がなくてもレシピに困ることはありません。
日本では「ソイミート」が比較的手に入りやすい食材ですので、ハンバーグや唐揚げなどにして味わってみてはいかがでしょうか。
2.動物実験をしていない製品を使う
私たちが普段使用している生活用品。シャンプーや石鹸、化粧品の数々は、動物実験による多数の犠牲の上に成り立っています。
しかし、近年動物実験に反対する企業が増加傾向にあり、国内でも多くのメーカーがシフトしています。
実験を必要としない製品の多くがプラスチックを含んでおらず、環境保護にも適しているのです。
3.SNSでレシピとヒントを共有する
インスタやツイッターは情報収集・発信にぴったりです。ライフスタイルや環境問題についての考えを共有し、考えやアイデアを広げていくことができます。また、ヴィーガンレシピも多数公開されており、自分自身の生活のヒントを見つけられるでしょう。
■ヴィーガンになることで、こんなメリットが!
1.菜食生活は生活習慣病の改善に役立つといわれており、薬や医療処置よりも効果的であると述べる研究もあります。また、心臓病による死亡リスクも低いのが特徴です。
2.バランスの良いヴィーガン食はダイエットにも効果があるといわれています。世界的スター、ビヨンセがヴィーガン・ダイエットをしたことをご存知の方もいるのではないでしょうか。
激痩せは体に負担をかけますが、徐々に菜食に移行していくことで健康かつ体型維持に役立つかもしれません。
また、血圧やBMIの数値が低いことがわかっています。
3.動物性食品に含まれる細菌やウイルスの心配がありません。動物の肉には、ホルモン、ダイオキシン、およびその他の毒素が含まれており、ヒトに悪影響を及ぼすものもあります。
4.新しい食材と出会えることも、菜食主義の魅力です。現在、世界には20,000種類以上の食用植物があり、私たちのライフスタイルを支えています。付け合わせや調味料により、肉類がなくても美味しい食事を味わえるのです。
■日本に古くからあるヴィーガン食とは!?
日本では馴染みのない「ヴィーガン食」、と思ったら大間違い。実は日本にも、よく似た食文化があります。
それは「精進料理」。
仏教の教えで、“殺生をせずに”作られた修行僧の食事を精進料理といいます。ヴィーガニズムと重なる部分がありますよね。
健康志向が高まる海外では、このような和食文化が見直されており、注目を浴びているのです。
ご紹介したように、ベジタリアンよりも制限が多くあるものの、毎年欧米ではヴィーガン人口が増加しています。
日本では海外のライフスタイルを参考にすることも少なくありませんが、大切なことはバランスの良い食生活です。
健康と環境のために何ができるかを考えることが、誰もができるヴィーガンマンスの過ごし方かもしれません。